JSCRS(日本白内障屈折矯正手術学会)有水晶体眼内レンズ情報

  • ICLを考えている方へ

ICLはこのような方にお勧めします

  • 強度の近視・遠視・乱視や、左右の視力(近視の度数)がかなり違うなどでメガネでは視力の矯正が難しい方
  • ドライアイやアレルギー性結膜炎などのため、コンタクトレンズが使用できない方
  • コンタクトレンズやメガネにわずらわしさを感じている方
  • スポーツをするため、現在使っているコンタクトレンズやメガネでは不便な方
  • 地震などの災害時の避難に際し、今の視力では不安を感じる方
  • 現在の視力では、希望する職業につくことができない方

ICLを受けられる条件

すべての人が、ICLを受けられるわけではありません。ICLを受けるには、次の条件を満たしている必要があります。

  • 18歳以上(未成年者の場合、親権者の同意が必要となります)
  • 老眼年齢(一般に40歳以上)に関しては、術後の近くの見え方も考慮して慎重に実施する
  • 近視の強さを表す屈折値(ジオプター)が6D以上の高度近視であること。
    ただし、15Dを越える最強度の近視や3D以上6D未満の中等度の近視に対しては慎重に実施する
  • 乱視は4.5D以内であること
  • 近視の度数が少なくとも1年(できれば1年半)以上安定していること
  • 他の目の病気(白内障・緑内障・糖尿病網膜症・ブドウ膜炎など)がないこと
  • 傷の治りに影響するような重症な糖尿病やアトピー性疾患がないこと
  • 妊娠中・授乳中ではないこと

このような方はICLに向いていません

  • 18歳未満
  • 近視がまだ進んでいる方
  • 前房深度(角膜の裏側から水晶体までの距離)が2.8ミリより浅い方
  • 進行性の円錐角膜の方
  • 白内障、緑内障、ブドウ膜炎などの目の病気を持っている方
  • 通常の目薬では治らないような重度のドライアイの方
  • 傷の治りに影響するような重症な糖尿病やアトピー性疾患などをお持ちの方
  • 妊娠中・授乳中の方
  • 細かいことに対し過度に神経質になる方

ICLの年齢制限

40歳以上では老眼との関係を考慮します

詳細につきましては他の項目(レーシックのリスク:老眼との関係)でも述べておりますが、老眼は目の中の「調節力」の低下により起こるもので、40歳を過ぎた頃から近くの見えにくさを自覚します。 衰えた筋肉を再び甦らせ強化することが困難なように、老化現象である「老眼」、つまりその調節力を回復させる手術は、残念ながら現在のところありません。 ただし、白内障手術に際して、多焦点眼内レンズを用いることにより老眼に対応している場合があります。

また、以前より行われている「モノビジョン法」と言われる左右の屈折度数(視力)を少し変え、両目を上手に使って遠くや近くを見ようとする方法もありますが、 すべての方がこれにより満足な見え方を得られるわけではありません。従って、40代に差し掛かった方がICLを受ける際には充分な注意が必要です。 つまり、遠くがしっかり見えることがご自分の日常生活に本当に便利なのか、よくよく考える必要があります。 たとえば、近くは老眼鏡を掛けるから、とにかく遠くを見るときにはメガネなしで過ごしたいと言われてICLを受ける方もいらっしゃいます。 この方は術後の見え方について充分理解した上、ご自分で選択されたことなので、結果に満足されると思われます。

このように、手術後遠くや近くの見え方がどのようになるか、メガネがどれぐらい必要になるかなど、しっかりご理解いただけるのであれば、ICLに年齢の上限はないと考えられます。
しかしICLを受けた後、加齢に伴う白内障が出現するまでの期間は個人差がありますが、近視が強い方は、比較的早く白内障になる傾向にあります。そのため50歳以上で手術をする場合は、加齢による白内障が出てくると視力が低下するので、ICLの恩恵を受ける期間が短くなることもあります。

近視は進行することがあるので、リセットする時期を考えます

次に何歳からICLが可能なのか、について述べます。日本眼科学会のガイドラインでは18歳以上とされていますが、これは職種によって裸眼視力の規定があることを考慮しているからです。できれば成人である20歳以上が望ましいですが、一般的に20歳前半ではまだまだ近視が進む可能性があるので、25歳前後がよいかもしれません。なぜならICLは近視化を止めるわけではなく、その時点での近視、乱視を矯正するだけです。つまり、近視を矯正して1.5になったとしても、その後の生活習慣などで近視が進み、3-4年後には0.7以下までに視力が下がってしまうこともよくあることです。このあたりをよく考え、低年齢で急いで手術をするのではなく、ご自分にとってどの時点でリセットする(近視を治し、正視にする)のが望ましいのかを慎重に決めていただきたいと思います。

ICL手術後の通院はどの位必要なのですか?

手術後1週間は大切な時期です

施設によって多少の違いはありますが、一般的には、手術翌日・(3日目)・1週間後・1ヶ月後・3ヶ月後・6ヶ月後・1年後です。その後は1年に1度程度の定期検査を受けることをお勧めします。とくに手術後1週間は最も大切な時期なので、仕事なども配慮できるようにし、必要があれば通院ができる状況にしておいた方が良いでしょう。ICLは手術翌日から良い視力となり、痛みや違和感も少ないので、定期的な検診が必要なのか疑問に感じる患者さんもいますが「見えているから問題なし」という訳ではありません。視力だけではなく、眼圧やレンズの位置、眼内の炎症や点眼薬に対する反応、などのチェックが必要なのです。また、術後の感染症は非常にまれ(1/6000程度)ですが、もしこれが起こると目はとても重篤な状態となり、最悪の場合失明に至ることもあります。そのため早期発見、早期治療はとても大切です。また、ICLを受けられる方は、高度近視の方が多いので、網膜剥離や緑内障などの目の病気になりやすいといわれています。そうした意味からも年に1回の定期検査は大切です。

何か問題があれば担当医に相談しましょう

手術後、目の状態は手術後3ヶ月程度で安定します。ICLを受ける前までは、メガネやコンタクトレンズでの生活だったので、目の使い方によっては眼精疲労やドライアイなどの症状が出ることもあるでしょう。そうした症状がある時には、定期検査の際に担当医に相談し、適切なアドバイスを受け、必要であれば点眼薬を処方してもらいましょう。見え方が悪かったり、何か症状がある時には、早めに担当医に相談して不安を解消する事も大切です。定期的な検診を受ける事で、視力や目の状態を把握する事ができますし、目の病気に対する予防的なアドバイスを受けることができます。

施術後のアフターケアは、手術を受けた病院で継続することが良いでしょう

引っ越しなど何かの理由で通院が出来ない時には、担当医に相談してICLのアフターケアが出来る病院を紹介してもらいましょう。
残念ながらすべての病院でICLのアフターケアができるわけではありませんので、ICLの経験のある信頼できる施設で診療を受けることが望まれます。

どういう病院を選ぶと良いですか?

ICLを行っている施設は、日本各地にあります。眼科医がICLを行うためには日本眼科学会の屈折矯正講習会に参加した後、メーカーが行っているライセンス承認過程を経て、「ICL認定医」となる必要があります。まずは、その病院の執刀医が認定医であることはいうまでもありませんが、白内障手術などの内眼手術の経験が豊富で、患者様に寄り添った医療を行っている施設を選ばれるとよいかと思います。ICLのメリットだけではなく、デメリットについてもしっかり説明し、質問にも真摯に答えてくれることが大切です。メリットだけを謳い、低料金などで手術に誘導するような施設は、慎重に検討された方がよいでしょう。

写真:医者と患者

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